7 against 6

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7人攻撃

 7人攻撃は、2016年のリオオリンピックあたりから攻めの選択肢として一般的になってきた。ハンドボールでは、イーブンナンバーゲームであっても数的有利な局面を作ることが重要である。この7人攻撃では、初めから数的有利な状況を作れるので非常に有効である。しかし、ミスすることによるリスクは増えるためか競技レベルによってはあまり浸透していない。今回は、7人攻撃そのものについてではなく、一流選手ばかりではないチームがトレーニングとして7人攻撃を練習に取り込んで行く意義ついて考えたい。

 ハンドボールの練習メニューを考えると、シュート練習、フェイント練習、1:1練習などの個人技能に関する練習と状況判断の練習とに大別されるように思う。その後者、状況判断力を鍛えるにはどうすれば良いか。荒木ら[1]は3対2のアウトナンバーゲームの効果について研究を行なっている。その結果、3対2のアウトナンバーゲームの練習を行うことでプレーヤーの戦術的知識と戦術的状況判断力が有位に向上したと報告されている。

また、荒木らは別の論文[2]においてアウトナンバーゲーム練習で得られた戦術的知識と戦術的状況判断力がイーブンナンバーゲームにも反映されるのかについて検討している。本研究では、2ヶ月間のアウトナンバーゲーム練習の前後で、戦術知識テストと戦術的状況判断テストの点数がどのように変化かするか及び実際のイーブンナンバーゲームを撮影し、その映像をゲームパフォーマンス評価法により解析することでトレーニング効果を評価している。その結果、イーブンナンバーゲームにおいても戦術的状況判断力の項目で有位に向上が認められたと筆者らは述べている。

 さて、本題の7人攻撃について戻る。7人攻撃は7 vs 6であるからアウトナンバーの1種である。先の研究結果からは、アウトナンバーゲームで得たことは本質的に必要とされる戦術的知識と戦術的状況判断力につながると言うことがわかる。経験の浅いプレーヤーが多いチームは7人攻撃を取り入れることでこのアウトナンバーゲームの練習の状況を実際の試合で実現することができる。速攻の時やゲームの流れなど戦術上7人攻撃をできないこともあるのも確かだが、先の結果から、イーブンナンバーゲームにおける能力も向上しているはずである。

 

 また、練習時間が限られているチームにおいては特に7人攻撃の練習が有効だと思われる。本来、2:1, 3:2など段階を追って練習すべきだと考えられるが、6 vs 6中心の練習になっているチームも少なくない。また、チームの目指すレベルによっては個別の事象の練習は楽しくないから、試合に近いことだけ練習すると言うチームもあるかもしれない。そのようなチームにおいても、ゲームに近い形(直接活きる形)で状況判断力を付けられるいい練習かもしれない。

 現状、レベルの高いチームでしか7人攻撃をやっているところを見かけない。しかし、以上のような見方からするとむしろ競技初心者が多いチームこそ7人攻撃をやったほうがいいようにさえ思える。論文中で触れられていた戦術的知識と戦術的状況判断力はもちろんだが、ミスをすることで即失点に繋がるためミスに対する意識の向上も見込めると考えられる。

 

 以上のように、練習時間の限られたチームや試合形式ばかりの練習になりがちなチームにはトレーニングとしての7人攻撃をお勧めしたい。

 

[1] 荒木祥生, 和歌山大学教育学部紀要, 201464, 1-8.

[2] 荒木祥生, 和歌山大学教育学部紀要, 201565, 1-8.

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